Appendix G. Differences from RFC 2178
F. Multiple interfaces to the same network(同一ネットワークへの複数インターフェース)
同じサブネットワークに接続する複数の物理インターフェースを持つルーターは、OSPF 仕様の古いバージョン([Ref9])では禁止されていました。しかし、そのような構成は、VoIP の集中ユニットや、同じイーサネットセグメント上のルーター間で負荷分散するために使用される 1 つのルーター内の複数のブロードキャストインターフェースなど、正当な運用上の理由でますます一般的になっています。この RFC は、ルーターが同一のサブネットワーク上に複数のインターフェースを持つことを許可します。
このセクションでは、この機能(「同一ネットワークへの複数インターフェース」と呼ばれる)のルーター実装が、OSPF ルーティングドメインのセマンティクスに干渉しないようにするための追加要件について議論します。主要な懸念は、リンクステートデータベース内の LSA の内容、およびルーティングテーブル計算の結果です。このセクション内の「インターフェース」という用語は、近隣ルーターと OSPF 隣接関係を確立できるルーターの物理インターフェースを指します。
この機能を実装するルーターは、特定のサブネットワーク上のすべてのインターフェースが、各インターフェース(IP アドレス、マスク、OSPF エリア ID、Hello 間隔などのパラメータ値)の設定が同じになるように細心の注意を払う必要があります。
F.1 Preventing oscillation(振動の防止)
ルーターが同一のアドレスプレフィックスに接続する 2 つのインターフェースを持っている場合、インターフェースの一方がダウンすると、トラフィックと隣接関係がもう一方のインターフェースに切り替わります。その後インターフェースが復帰すると、トラフィックは元のインターフェースに戻る可能性があります。この「ずっとにらめっこ」の状況により、ネットワーク上の OSPF ルーティングが振動する可能性があります。この振動を防ぐために、ルーターは以下の動作を実装すべきです。
同一のアドレスプレフィックスに接続する複数のインターフェースを持つルーターは、すべてのインターフェースが up と宣言された場合でも、データ転送に使用するインターフェースを 1 つだけ選択(「主インターフェース」として)し、他のインターフェースをネットワーク内の対応するネイバーへのシグナリング用に予約します。主インターフェースは、インターフェースのいずれかがダウンした場合、またはネットワーク内の対応するネイバーからの Hello パケットが所定の時間内に受信されない場合にのみ変更されます。
ルーターは、複数のインターフェースを主インターフェースとして選択するためのアルゴリズムを実装する場合があります。ルーター外の動作は、同じサブネットワーク上に複数のインターフェースがあるにもかかわらず、いつでも正確に 1 つの主インターフェースが存在するというものになります。特定のアルゴリズムは、共通のネットワークの両側で同じである必要はありません(実際、ネットワークの両側が同時に主となることを防ぐために、ネットワークの両側で異なるアルゴリズムを使用する方が望ましい場合があります)。
F.2 LSA and route table considerations(LSA およびルーティングテーブルの考慮事項)
同一ネットワークへの複数インターフェースは、ルーティングテーブル計算および LSA 内のアドバタイズメントに影響を与える可能性があります。例を以下に示します。
o router-LSA。同一ネットワークへの複数インターフェースを持つルーターは、それらすべてのインターフェースについて、ネットワークへの接続性を伝える 1 つの Type 2 リンク(transit network への接続)をアドバタイズする必要があります。Type 2 リンクのコストは、選択された主インターフェースのコストに等しく設定する必要があります。
o network-LSAs。同一ネットワークへの複数インターフェースは、ネットワークの Designated Router がネットワークの network-LSA を発信する方法には影響しません。network-LSA には、ネットワークに接続されている各ルーターの 1 つの Router ID のみがリストされます。これにより、ルーターがネットワーク上に複数のインターフェースを持っているかどうかを判断することはできません。
o ルーティングテーブル計算。ルーティングテーブル計算の結果は、インターフェースが主として選択されたかどうかによって影響を受ける可能性があります。例として、主インターフェースとルーティングテーブル計算で使用されるネクストホップ IP アドレスが挙げられます。
F.3 Caveats(注意事項)
このセクションは、同一ネットワークへの複数インターフェースの完全な定義を意図したものではありません。実装者が留意すべき追加の考慮事項は以下のとおりです。
o ルーターが複数のインターフェースを同一ネットワークに接続し、隣接関係が確立されると、そのネットワークは単一の IP サブネットワークとして見なされるため、重複アドレス検出(Duplicate Address Detection)はネットワークの少なくとも 1 つの側で失敗する可能性があります。
o この機能をサポートするルーターは、複数のパス(インターフェース)を 1 つのネットワーク接続に集約し、トラフィックの負荷分散を可能にする必要があります。
o 同じサブネットワーク上の複数のインターフェースを持つルーターのルーティングテーブル計算は、インターフェースがダウンしたときに適切に動作する必要があります。
G. Differences from RFC 2178(RFC 2178 との違い)
本ドキュメントは、RFC 2328 の 2 回目の標準トラックバージョンの前書き(proposed standard および draft standard)である RFC 2178 [Ref19] を置き換えます。RFC 2178 との主な違いは以下のとおりです。
(1) 本ドキュメントは、インターネット標準(Internet Standard)です。RFC 2178 は、提案標準およびドラフト標準でした。したがって、RFC 2328 の規定事項において、RFC 2178 は廃止されます。
(2) 本ドキュメントは、付録 G(本付録)を追加し、付録 F を削除しました。
(3) 本ドキュメントには、OSPF オプションとして実験的 TOS ルーティング機能([Ref9] に記述)をサポートするかどうかに関する新しいセクションが含まれています。この機能をサポートする実装は、TOS 特定のルーティングを実装する必要があります。実装が TOS ルーティングをサポートしないことを選択した場合、対応する OSPF LSA およびパケットのさまざまな TOS フィールドをゼロに設定する必要があります。
(4) 本ドキュメントは、OSPF オプションとして multicast 機能のサポート([Ref18] に記述)を含む新しいセクションを追加しました。この機能をサポートする実装は、OSPF オプションの MC ビットを設定し、[Ref18] のすべての規定事項に従う必要があります。
(5) 本ドキュメントは、OSPF オプションとして NSSA(Not-So-Stubby Area)機能のサポート([Ref19] に記述)を含む新しいセクションを追加しました。この機能をサポートする実装は、OSPF オプションの N/P ビットを設定し、[Ref19] のすべての規定事項に従う必要があります。
(6) 本ドキュメントは、OSPF オプションとして External-Attributes-LSA のサポート([Ref20] に記述)を含む新しいセクションを追加しました。この機能をサポートする実装は、OSPF オプションの EA ビットを設定し、[Ref20] のすべての規定事項に従う必要があります。
(7) 本ドキュメントは、OSPF オプションとして demand circuit のサポート([Ref21] に記述)を含む新しいセクションを追加しました。この機能をサポートする実装は、OSPF オプションの DC ビットを設定し、[Ref21] のすべての規定事項に従う必要があります。
(8) 本ドキュメントは、[Ref22] に従って OSPF プロトコルパケットのサイズを制限(limit)するという要件を追加しました。
(9) 本ドキュメントは、ルーターが OSPF の既存のバージョン(1、2、または 3)ではない OSPF バージョンを検出した場合の動作を指定します。
(10) 本ドキュメントは、Interfaces フォーマットの [Ref8] への参照を更新しました。
(11) 本ドキュメントは、受信した LSA の破棄(discarding)に関するセクション 13 に、MaxAgeDiff 制限を追加しました。MaxAgeDiff 制限を超える年齢を持つ LSA は、エリア間でフラッディングされるべきではありません。
(12) 本ドキュメントは、同一ネットワーク上の複数のインターフェースのサポートを追加しました(付録 F 参照)。
(13) 本ドキュメントは、個別の LSA をフラッシュするための新しい手順をセクション 14.1 に追加しました。
(14) 本ドキュメントは、OSPF 認証に使用される認証タイプを拡張しました(付録 D 参照)。
(15) 本ドキュメントは、ルーターが自身の Router ID を変更した後に、以前に発信された LSA をフラッシュするための新しい手順を追加しました。