3. OSPFセグメントルーティング over MPLSデータプレーンYANGモジュール (OSPF Segment Routing over MPLS YANG Module)
本セクションでは、MPLSデータプレーン上のOSPFセグメントルーティング拡張の完全なYANGモジュールを紹介します。
モジュール構造 (Module Structure)
ietf-ospf-sr-mpls YANGモジュールは、OSPF基本YANGモデル [RFC9129] を拡張し、セグメントルーティング基本モジュール [RFC9020] と統合されています。OSPFv2 [RFC8665] とOSPFv3 [RFC8666] の両方をサポートします。
モジュールヘッダー (Module Header)
module ietf-ospf-sr-mpls {
yang-version 1.1;
namespace "urn:ietf:params:xml:ns:yang:ietf-ospf-sr-mpls";
prefix ospf-sr-mpls;
organization
"IETF LSR - Link State Routing Working Group";
description
"このYANGモジュールは、MPLSデータプレーン上のOSPFセグメントルーティング(SR)
拡張の設定および運用状態を定義します。
このYANGモジュールは、RFC 8342に記述されているネットワーク管理
データストアアーキテクチャ(NMDA)に準拠しています。
Copyright (c) 2025 IETF Trust および著者。全著作権所有。
このYANGモジュールのバージョンは RFC 9903 の一部です。
完全な法的通知については、RFC自体を参照してください。";
revision 2025-12 {
description
"初版。";
reference
"RFC 9903: A YANG Data Model for OSPF Segment Routing
over the MPLS Data Plane";
}
}
主要なデータノード (Key Data Nodes)
セグメントルーティンググローバル設定 (Segment Routing Global Configuration)
SRGB設定:
- パス (Path):
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/segment-routing/srgb - タイプ (Type): lower-boundとupper-boundリーフを含むコンテナ
- 説明 (Description): セグメントルーティンググローバルブロック (Segment Routing Global Block) 範囲を定義
SRLB設定:
- パス:
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/segment-routing/srlb - タイプ: lower-boundとupper-boundリーフを含むコンテナ
- 説明: セグメントルーティングローカルブロック (Segment Routing Local Block) 範囲を定義
MSD設定:
- パス:
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/segment-routing/msd - タイプ: uint8
- 説明: ノードが課すことができる最大SID深度 (Maximum SID Depth)
エリアレベル設定 (Area-Level Configuration)
セグメントルーティング有効化:
- パス:
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/areas/area/segment-routing/enabled - タイプ: boolean
- デフォルト値: false
- 説明: エリア内のすべてのインターフェースでSR-MPLSを有効化
インターフェースレベル設定 (Interface-Level Configuration)
隣接セグメント識別子設定 (Adjacency-SID Configuration):
- パス:
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/areas/area/interfaces/interface/segment-routing/adjacency-sid - タイプ: コンテナ
- 内容:
- value: SID値またはインデックス
- neighbor: 隣接ルーターID (マルチアクセスネットワーク用)
- flags: 保護および値/インデックスフラグ
TI-LFA設定:
- パス:
/rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/ospf:ospf/areas/area/interfaces/interface/fast-reroute/ti-lfa - タイプ: コンテナ
- 内容:
- enable: TI-LFAの有効化/無効化
- node-protection: ノード保護の有効化
運用状態データ (Operational State Data)
OSPFv2 LSA拡張
モジュールは、SR関連TLVでOSPFv2 LSAを拡張します:
拡張プレフィックスオペークLSA (Extended Prefix Opaque LSA):
- 拡張プレフィックスTLV
- プレフィックスセグメント識別子サブTLV (Prefix-SID Sub-TLV)
- フラグ: NPフラグ、Mフラグ、Eフラグ、Vフラグ、Lフラグ
- アルゴリズム
- SID/インデックス/ラベル
- プレフィックスセグメント識別子サブTLV (Prefix-SID Sub-TLV)
拡張リンクオペークLSA (Extended Link Opaque LSA):
- 拡張リンクTLV
- 隣接セグメント識別子サブTLV (Adj-SID Sub-TLV)
- フラグ: Bフラグ、Vフラグ、Lフラグ、Gフラグ、Pフラグ
- 重み
- SID/ラベル
- 隣接セグメント識別子サブTLV (Adj-SID Sub-TLV)
ルーター情報オペークLSA (Router Information Opaque LSA):
- SRアルゴリズムTLV
- SID/ラベル範囲TLV
- SRローカルブロックTLV
- SRMS優先度TLV
OSPFv3 LSA拡張
モジュールは、SR関連TLVでOSPFv3 E-LSAを拡張します:
E-ルーターLSA (E-Router LSA):
- SRアルゴリズムTLV
- SID/ラベル範囲TLV
- SRローカルブロックTLV
E-エリア内プレフィックスLSA (E-Intra-Area-Prefix LSA):
- プレフィックスセグメント識別子サブTLV (Prefix-SID Sub-TLV) (OSPFv2と同様)
E-リンクLSA (E-Link LSA):
- 隣接セグメント識別子サブTLV (Adj-SID Sub-TLV)
- LAN隣接セグメント識別子サブTLV (LAN Adj-SID Sub-TLV)
- 隣接ルーターID
- フラグとSID/ラベル
主要用語 (Core Terminology)
Prefix-SID (プレフィックスセグメント識別子)
IPプレフィックスに関連付けられたセグメント識別子。Prefix-SIDはSRドメイン内でグローバルに一意であり、プレフィックスへのECMP対応最短パスを表します。
Adjacency-SID (隣接セグメント識別子)
隣接ルーターへの特定の隣接関係を表すセグメント識別子。
LAN Adjacency-SID (LAN隣接セグメント識別子)
マルチアクセスネットワーク (LAN) で使用される特殊な形式のAdjacency-SIDで、ローカルインターフェースと隣接ルーターの両方を識別します。
SRGB (セグメントルーティンググローバルブロック)
SRドメイン内のグローバルセグメント用に予約されたラベル範囲。すべてのノードは、SRの正常な動作のために一貫したSRGB設定を持つ必要があります。
SRLB (セグメントルーティングローカルブロック)
ローカルセグメント用に予約されたラベル範囲。SRLBラベルはローカルでのみ有効であり、ドメイン全体には伝播されません。
MSD (最大SID深度)
ノードがパケットに課すことができる最大SID数。この値は、パス計算エンジンが実行可能なSRパスを決定するのを支援するためにアドバタイズされます。
使用例 (Usage Example)
完全な設定例については、付録A を参照してください。
完全なモジュール定義 (Complete Module Definition)
すべてのデータノード、拡張、および通知を含む完全なYANGモジュール定義については、次を参照してください:
- 公式RFCテキスト: RFC 9903
- YANGモジュールリポジトリ: IANA YANG Parameters
注: 完全なYANGモジュールコード (約600行以上) には、各データノードの詳細な説明、制約、および参照が含まれています。ネットワークオペレーターは、YANG検証ツールを使用して、設定がモジュールの制約に準拠していることを確認する必要があります。