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3. IS-ISセグメントルーティング over MPLSデータプレーンYANGモジュール (IS-IS Segment Routing over MPLS YANG Module)

本セクションでは、MPLSデータプレーン上のIS-ISセグメントルーティング拡張の完全なYANGモジュールを紹介します。

モジュール構造 (Module Structure)

ietf-isis-sr-mpls YANGモジュールは、IS-IS基本YANGモデル [RFC9130] を拡張し、セグメントルーティング基本モジュール [RFC9020] と統合されています。

モジュールヘッダー (Module Header)

module ietf-isis-sr-mpls {
yang-version 1.1;
namespace "urn:ietf:params:xml:ns:yang:ietf-isis-sr-mpls";
prefix isis-sr-mpls;

organization
"IETF LSR - Link State Routing Working Group";

description
"このYANGモジュールは、MPLSデータプレーン上のIS-ISセグメントルーティング(SR)
拡張の設定および運用状態を定義します。

このYANGモジュールは、RFC 8342に記述されているネットワーク管理
データストアアーキテクチャ(NMDA)に準拠しています。

Copyright (c) 2025 IETF Trust および著者。全著作権所有。

このYANGモジュールのバージョンは RFC 9902 の一部です。
完全な法的通知については、RFC自体を参照してください。";

revision 2025-12 {
description
"初版。";
reference
"RFC 9902: A YANG Data Model for IS-IS Segment Routing
over the MPLS Data Plane";
}
}

主要なデータノード (Key Data Nodes)

セグメントルーティングの有効化 (Segment Routing Activation)

モジュールは、IS-IS SR MPLS機能を有効化するためのenableリーフを提供します。

パス (Path): /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/segment-routing/enabled

タイプ (Type): boolean
デフォルト値 (Default): false

有効化されると、ルーターは基本SRモジュールのSRGB/SRLB設定に基づいてSR機能をアドバタイズします。

マッピングサーバー設定 (Mapping Server Configuration)

アドバタイズポリシー (Advertise Policies):

  • パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/segment-routing/bindings/advertise/policies
  • タイプ: マッピングサーバーポリシー名へのleafref
  • 説明: IS-ISでアドバタイズするマッピングサーバーポリシーを制御

バインディングの受信 (Receive Bindings):

  • パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/segment-routing/bindings/receive
  • タイプ: boolean
  • 説明: マッピングサーバーエントリを受信および処理するかどうかを制御

TI-LFA設定 (TI-LFA Configuration)

モジュールは、トポロジ独立ループフリー代替 (Topology Independent Loop-Free Alternate, TI-LFA) をサポートするためにIS-ISインターフェース高速再ルーティング設定を拡張します。

パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/interfaces/interface/fast-reroute/ti-lfa

設定オプション:

  • enable: TI-LFAの有効化/無効化
  • level: level-1、level-2、または両方に適用
  • node-protection: ノード保護の有効化

運用状態データ (Operational State Data)

ルーター機能 (Router Capabilities)

モジュールは、次を含むIS-ISルーター機能を拡張します:

SR機能 (SR Capability):

  • パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/router-capabilities/sr-capability
  • 内容:
    • SRGB範囲
    • サポートされているSRアルゴリズム
    • MPLSカプセル化機能

SRアルゴリズム (SR Algorithms):

  • パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/router-capabilities/sr-algorithms
  • タイプ: アルゴリズム識別子のリスト
  • 一般的な値:
    • 0: 最短パス優先 (Shortest Path First, SPF)
    • 1: 厳密な最短パス優先 (Strict Shortest Path First)

ローカルブロック (Local Blocks):

  • パス: /rt:routing/rt:control-plane-protocols/rt:control-plane-protocol/isis:isis/router-capabilities/local-blocks
  • 内容: SRLB範囲情報

LSPデータベース拡張 (LSP Database Augmentations)

モジュールは、IS-IS LSPデータベースエントリにSR固有のTLVを追加します:

プレフィックスセグメント識別子サブTLV (Prefix-SID Sub-TLV):

  • アルゴリズム識別子
  • SID/インデックス/ラベル値
  • フラグ (Rフラグ、Nフラグ、Pフラグ、Eフラグ、Vフラグ、Lフラグ)

隣接セグメント識別子サブTLV (Adjacency-SID Sub-TLV):

  • フラグ (Fフラグ、Bフラグ、Vフラグ、Lフラグ、Sフラグ、Pフラグ)
  • 重み
  • SID/ラベル/インデックス

SID/ラベルバインディングTLV (SID/Label Binding TLV):

  • プレフィックス
  • 範囲
  • SID/ラベルマッピング

主要用語 (Core Terminology)

Prefix-SID (プレフィックスセグメント識別子)

IPプレフィックスに関連付けられたセグメント識別子。Prefix-SIDはSRドメイン内でグローバルに一意であり、プレフィックスへのECMP対応最短パスを表します。

主要属性:

  • グローバルスコープ (Global Scope): SRGBラベル範囲を使用
  • アルゴリズム (Algorithm): 特定のアルゴリズムに関連付け (例: SPF)
  • ノードSID (Node-SID): プレフィックスがルーターのループバックアドレスの場合

Adjacency-SID (隣接セグメント識別子)

隣接ルーターへの特定の隣接関係を表すセグメント識別子。

主要属性:

  • ローカルスコープ (Local Scope): SRLBまたは動的ラベル範囲を使用
  • 厳密な転送 (Strict Forwarding): トラフィックは特定の隣接関係を介して転送される
  • 保護 (Protection): バックアップパスによって保護可能

SRGB (セグメントルーティンググローバルブロック)

SRドメイン内のグローバルセグメント用に予約されたラベル範囲。すべてのノードは、SR の正常な動作のために一貫したSRGB設定を持つ必要があります。

SRLB (セグメントルーティングローカルブロック)

ローカルセグメント用に予約されたラベル範囲。SRLBラベルはローカルでのみ有効であり、ドメイン全体には伝播されません。

MSD (最大SID深度)

ノードがパケットに課すことができる最大SID数。この値は、パス計算エンジンが実行可能なSRパスを決定するのを支援するためにアドバタイズされます。

使用例 (Usage Example)

完全な設定例については、付録A を参照してください。

完全なモジュール定義 (Complete Module Definition)

すべてのデータノード、拡張、および通知を含む完全なYANGモジュール定義については、次を参照してください:


: 完全なYANGモジュールコード (約500行以上) には、各データノードの詳細な説明、制約、および参照が含まれています。ネットワークオペレーターは、YANG検証ツールを使用して、設定がモジュールの制約に準拠していることを確認する必要があります。