用語集 (Glossary)
この用語集は、RFC 791 (インターネットプロトコル) で使用される主要な用語の定義を提供します。
A
アドレス (Address): インターネットシステム内でホストを一意に識別する固定長識別子 (IPv4では32ビット)。IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部で構成されます。
ARPANET: Advanced Research Projects Agency Network。最初のパケット交換ネットワークの1つであり、現代のインターネットの前身です。
C
Catenet: 相互接続されたパケット交換コンピュータ通信ネットワークのシステム。この用語は、現在インターネットとして知られているものを説明するために使用されました。
チェックサム (Checksum): 送信中のエラーを検出するためにIPヘッダから計算される16ビット値。チェックサムは、ヘッダが処理される各ポイントで再計算および検証されます。
D
データグラム (Datagram): 送信元から宛先へのルーティングに十分な情報を持ち、以前の交換に依存しない、自己完結型の独立したデータエンティティ。IPにおけるデータ送信の基本単位です。
宛先アドレス (Destination Address): データグラムの意図された受信者の32ビットIPアドレス。
分割禁止 (Don't Fragment, DF): IPヘッダのフラグビットで、設定されている場合、データグラムを分割してはならない (must not) ことを示します。分割が必要でDFが設定されている場合、データグラムは破棄されます。
F
フラグメント (Fragment): IPデータグラムの一部。フラグメント化は、データグラムがMTUがデータグラムサイズより小さいネットワークを通過する必要がある場合に発生します。
フラグメントオフセット (Fragment Offset): 元のデータグラム内でこのフラグメントが属する位置を示す13ビットフィールド。8オクテット単位で測定されます。
フラグメント化 (Fragmentation): MTU (Maximum Transmission Unit) が小さいネットワークを通じて送信するために、大きなIPデータグラムを小さな断片 (フラグメント) に分割するプロセス。
G
ゲートウェイ (Gateway): ネットワーク間でIPデータグラムを転送するデバイス。現代の用語では、通常「ルータ (router)」と呼ばれます。
ゲートウェイ間プロトコル (Gateway to Gateway Protocol, GGP): ゲートウェイがルーティング情報を交換し、インターネット制御情報を調整するために使用するプロトコル。
H
ヘッダ (Header): データの前に付加される制御情報。IPヘッダには、ルーティングと配送に必要なアドレス指定、制御、およびその他の情報が含まれます。
ヘッダチェックサム (Header Checksum): ヘッダフィールドに対して計算されたチェックサムを含むIPヘッダのフィールド。送信中のヘッダの破損を検出するために使用されます。
ホスト (Host): IPデータグラムを発信または受信するエンドシステム。データグラムを転送するゲートウェイとは区別されます。
I
ICMP (Internet Control Message Protocol, インターネット制御メッセージプロトコル): IPネットワークでエラー報告と診断機能に使用されるプロトコル。ICMPメッセージは、IPデータグラムとして運ばれます。
識別 (Identification): 特定のデータグラムのフラグメントを識別するために使用されるIPヘッダの16ビットフィールド。
IHL (Internet Header Length, インターネットヘッダ長): 32ビットワード単位でIPヘッダの長さを指定する4ビットフィールド。最小値は5 (20バイト) です。
IMP (Interface Message Processor): ARPANETで使用されるパケットスイッチ。現代のルータの前身です。
インターネットアドレス (Internet Address): アドレス (Address) を参照してください。
インターネットデータグラム (Internet Datagram): データグラム (Datagram) を参照してください。
インターネットモジュール (Internet Module): インターネットプロトコルを実装するソフトウェアコンポーネント。
L
ローカルネットワーク (Local Network): ホストまたはゲートウェイが直接接続されている物理ネットワーク。例には、Ethernet、Token Ring、またはARPANETが含まれます。
ローカルネットワークインターフェース (Local Network Interface, LNI): IPモジュールとローカルネットワークプロトコル間のインターフェース。
M
さらにフラグメントあり (More Fragments, MF): IPヘッダのフラグビットで、設定されている場合、データグラムのさらなるフラグメントが続くことを示します。クリアされている場合、これが最後の (または唯一の) フラグメントであることを示します。
MTU (Maximum Transmission Unit, 最大転送単位): 分割なしで特定のネットワーク上で送信できる最大のパケットサイズ。
O
オクテット (Octet): 8ビットの単位。ほとんどの現代システムではバイトに相当します。
オプション (Options): セキュリティ、ソースルーティング、ルート記録、タイムスタンプなどの制御機能に使用されるIPヘッダの可変長フィールド。
P
パディング (Padding): オプションが存在する場合に、IPヘッダが32ビット境界で終了することを保証するために追加されるゼロビット。
優先度 (Precedence): データグラムの優先度を示すサービスタイプの3ビットフィールド。
プロトコル (Protocol): データグラムのデータ部分で使用される次のレベルのプロトコル (例: TCP、UDP、ICMP) を示すIPヘッダの8ビットフィールド。
R
再構築 (Reassembly): 宛先でそのフラグメントから元のデータグラムを再構築するプロセス。
ルート (Route): 送信元から宛先までネットワークを通じてデータグラムが取るパス。
ルーティング (Routing): 相互接続されたネットワークを通じてデータグラムの送信のためのパスを選択するプロセス。
S
送信元アドレス (Source Address): データグラムの送信者の32ビットIPアドレス。
ソースルーティング (Source Routing): 送信元がデータグラムがネットワークを通じて取るべきルートを指定できるようにするIPオプション。緩い (一部のホップが指定される) または厳密 (すべてのホップが指定される) のいずれかです。
T
TCP (Transmission Control Protocol, 伝送制御プロトコル): IP上で動作する接続指向の信頼性のあるトランスポートプロトコル。
生存時間 (Time to Live, TTL): データグラムがインターネットシステム内に存在する可能性がある (may) 最大時間 (秒単位) またはホップ数を示すIPヘッダの8ビットフィールド。各ホップで減少されます。
総長 (Total Length): オクテット単位でのIPデータグラム (ヘッダとデータ) の総長を示す16ビットフィールド。
サービスタイプ (Type of Service, TOS): データグラムの希望するサービス品質 (優先度、遅延、スループット、信頼性) を示すIPヘッダの8ビットフィールド。
U
UDP (User Datagram Protocol, ユーザーデータグラムプロトコル): IP上で動作するコネクションレストランスポートプロトコル。
主要概念
アドレスクラス
IPv4アドレスは、上位ビットに基づいてクラスに分割されます:
- クラスA: 0.0.0.0 - 127.255.255.255 (上位ビットは0)
- クラスB: 128.0.0.0 - 191.255.255.255 (上位ビットは10)
- クラスC: 192.0.0.0 - 223.255.255.255 (上位ビットは110)
- クラスD: 224.0.0.0 - 239.255.255.255 (上位ビットは1110、マルチキャスト)
- クラスE: 240.0.0.0 - 255.255.255.255 (上位ビットは1111、予約済み)
プロトコル番号
Protocolフィールドの一般的な値:
- 1 = ICMP (Internet Control Message Protocol)
- 6 = TCP (Transmission Control Protocol)
- 17 = UDP (User Datagram Protocol)
優先度レベル
サービスタイプの優先度フィールドの値:
- 111 = ネットワーク制御 (Network Control)
- 110 = インターネットワーク制御 (Internetwork Control)
- 101 = CRITIC/ECP
- 100 = Flash Override
- 011 = Flash
- 010 = Immediate
- 001 = Priority
- 000 = Routine
注記: この用語集は、RFC 791 (1981年9月) に基づいています。一部の用語と概念は、元の仕様以来進化しています。